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トリプル・マーカー検査というのは、母体血清マーカー検査のひとつである。
おなかの赤ちゃんがダウン症候群や中枢神経管開存(脳や脊髄の一部がうまく形成されていない状態で、無脳症や脊椎破裂などがある)である確率を、採血して推定する。 こうした病気をもった赤ちゃんがおなかにいると、お母さんの血液にふくまれるいくつかの物質(マーカー)が増減する。
このマーカーの増減から、確率が推定できるというわけだ。 たとえば、ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していると、αフェトプロテイン(AFP)、HCG、uE3という3つのマーカーで、ダウン症候群でない赤ちゃんを妊娠しているときに比べ、それぞれ低下、上昇、低下する傾向がある。
これらの増減にお母さんの年齢を加味して、赤ちゃんがダウン症候群である確率を推定する。 羊水や繊毛の検査に比べれば手軽なことから、トリプル・マーカー検査は急速に普及した。
しかし、1998年におこなわれた旧厚生省の研究班による調査では、10分にも満たない説明で「インフォームド・コンセント」をとったとしている施設が半数以上あり、ダウン症候群についての情報も十分に与えられていないという実態が明らかになった。 その結果、出生前診断など関係ないと思っていた大多数の妊婦までが軽い気持ちでマーカー検査を受け、高い確率を見て慌てて羊水検査へ、というルートにのせられた。
無用な不安をかきたてられたばかりでなく、安易に中絶に走って心に傷を負うケースも少なくなかった。 「子どもを育てること、生きることはもともとリスクがあるものです。
だから、安易に中絶させる術よりも、子どもを生かす技術や障害のある子のケアにこそ、その費用をまわすべきである」そう訴えるS所長の姿勢に、私は共感したのだった。 旧厚生省の厚生科学審議会先端医療技術評価部会・出生前診断に関する専門委員会は99年7月、「母体血清マーカー検査に関する見解」をまとめた。

検査の説明と実施にあたって配慮すべき事項について具体的な指針を示し、「医師は妊婦に勧めるべきではない」と自粛を求めたもの検査の結果は、「ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠している確率は300人に1人です」というように話される。 あくまで確率の推定でしかないので、おなかの赤ちゃんがダウン症候群かどうか確定したければ、おなかに針を刺すなどして羊水や繊毛をとる羊水検査や繊毛検査をすることである。

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